【報告】第10回 「働きすぎてしまう、のはなぜか?」

【報告】第10回波止場てつがくカフェ 「働きすぎてしまう、のはなぜか?」

11月26日(土)の午後。波止場てつがくカフェはこの日、初めての〈路傍〉での開催を迎えた。寒さが少々心配なところであったが、陽光の暖かさを感じられる日和となったため、さほど気にすることなく対話を行うことができた。

この日用意した新設備――名付けて「どこでもホワイトボード」!


100円ショップで購入した突っ張り棒を骨組みに、キャスター・ケースに固定。そこにスチレン製のホワイトボードを連結させて吊り下げて完成させるという、わが波止場の技術力を結集して製作された代物である(笑)。

高さ180センチを超える<動く>ホワイトボードが、大した手間もなく街路にそびえたつ計算であったのだが…この組み立てに、やはり手こずった。

固定と連結には結束バンドを用いるのだが、手元がすべったりしてなかなか位置が決まらない。突っ張り棒をいちいち回転して伸ばさなければいけないというのも、なかなかにもどかしかった(笑)。

なんとか無事に組み立てることはできたのだが、気づいたらあっという間に時間が過ぎてしまっていた。

ということで13時。参加者も到着したところで、息をつく間もなく対話を開始した。

今回のテーマは「働きすぎてしまう、のはなぜか?」。


同じ頃、広告大手・電通の従業員が過労自殺した事件が社会の関心をよび、電通には強制捜査のメスが入った。

ここ数年、ニュースや報道などでも、「働き方」については様々に論じられているが、果たして”波止場てつがく”的にはどんな具合になるだろうか。

最初に提出されたのは、日本の企業風土についての話しであった。

  • なんとなくがんばってしまう
  • やれと言われたら逆らえない

そのような労働の現実がある一方で、働き方の変化、多様化といった話題も。


>「正社員」だからと何でも責任感からやってしまいがちだが、在宅勤務やワークシェアリングなど、働き方が多様になることで、ひとりで抱え込むという傾向が少しづつ変わってきているところもある


一通り働き方をめぐる話題が提出された後、関心は「働きすぎ」ということに移る。一体「働きすぎ」という状態は、誰がどのように判断し、決めるのか?

  • ほんの数時間働いただけでも働きすぎと感じる人もいる
     →「働きすぎ」の感じ方は人それぞれ
  • 「働く」ということの内容によっても違うのではないか。誰かから強制されてイヤイヤ働くのと、自分からやりたくて働いているのとでは、同じ「働く」でも違うものとなる。
  • 「働きすぎ」の問題は、本人しかそれを判断できないことではないか?
  • 「働きすぎ」を回避するには、周囲がコミュニケーションによって気遣うことが大事
  • 日本の労働者の多くが、家族や自分のための時間を充分に確保せず、仕事のために時間を割くことが問題

などなど、様々な意見が提出された。

一方、


>「働きすぎ」ることは悪いことなのか?


という視点も提案される。


>働くことによって命を縮めることになってしまうことに帰結してしまうことがありながらも、それは「仕事」を成すために必要なことでもあるのではないか

としたうえで、


>働く=他人(はた)+楽(らく)⇒ 周囲の人(他人)を楽にしたら一人前


という定義も提案されたが、最終的には以下の論点に注目が集まった。



「働きすぎ」という場合の<働き>と、単なるそれ(「すぎない」<働き>)というものは、そもそも違うものではないのか?

⇒「働く」とは、何かを自発的になすことである(「すぎない」<働き>)一方、「働き<すぎる>」という場合の「働く」とは、周囲か らの影響を受けながらともすればイヤイヤのうちに、あるいは他人から強制されて行うものである


このような前提から、今回は次のような問を設けて対話を終えた。

問 「働きすぎ」ということになってしまうのはどんな場合か?

答 イヤだなと感じた仕事を続けた場合

 



今回は参加人数こそ多くなかったものの、<路傍>開催の醍醐味であろうか。なんと、飛び入りでの参加者が2名も!

発言はしないものの、足を止めて対話に耳を立てる方。興味深げに眺めている方なども多く、企画者としては、路傍での開催に大きな展望と期待を感じる一日となった。

参加された皆様、大変お疲れ様でした。

 

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■第10回波止場てつがくカフェ 「働きすぎてしまう、のはなぜか?」

■日時:11 月26 日(土)13 時~

■場所:自由が丘南口周辺の路傍

■参加費:無料

※「本レポートは対話の場の主催者として掲載するものですが、報告者の個人的見解を前提としています。種々の制約によりラフな記録と記憶をたよりに作成されているため、現になされた対話の事実と食い違うところがあるかもしれません。何卒ご承知おき頂きたく、お願い申し上げます。

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