【報告】第12回 <女子力>・・・ 誰が発揮するのか?
2月25日(土)。
第12回目となるこの日は、武蔵境の「超巨大商業施設」での開催となった。
テーマは「 <女子力>・・・ 誰が発揮するのか?」。
当日参加の方も多く、参加者は10名を越える数となった。
会の冒頭から「女子力」、そして「女子」という言葉について、様々な考えが語られた。
- 「女子会」というものが広く言われるようになった。ここでの「女子」は年齢を限定しない、女性一般を指している。
- 「男子力」という言葉が使われないのはなぜか?
- 「女子“する”力」という意味なのではないか?
- 「イクメン(iku-MEN)」という言葉は耳にするが、「イクウィメン(iku-WOMEN)」という言葉はない。
- 「女社長」とワザワザ性別を明らかにすることがあるのに、「男社長」という言葉はない。
- 「女子力」という言葉は、気軽なコミュニケーションツールとなっていると思う 性別を強調する言葉を用いる企業が増えている様に思う。もともと男性の領域であったところに女性が進出してきた結果ではないか?
話はやがて、「女」という言葉を冠した言葉の構造の問題に言及しながら、さらに展開する。
- 将棋の世界では、女性だけに適用される「女流棋士」(※1)という制度がある。
※1 報告者参考 「女流棋士」と「女性棋士」
「棋士」には性別によって「男性棋士」「女性棋士」という言葉が成り立つが、「女性棋士」は上記「棋士」とは違う制度によるものである
⇒「壁を打ち破れ、女流棋士里見香奈の挑戦」(YOMIURI ONLINE)
- かつて「保育士」「看護士」という名称はなく、それぞれ「保母」「看護婦」という名称であった。男性もその分野に進出するようになって「士」をつけて呼ぶようになったのだと思う。
- 「女子力」はマーケティングの用語であって、実際には「ネタ」としてしか使われていない。
- 「女子」と「女」はどう違うのか?「女子」とは性的に成熟した「女」とは違って、「女子」=女の子供、というものをモデルとしているのではないか?
- 「~女子学院」という固有名はあるが、「~男子高校」という名称はない
そして、話は「女」という言葉が用いられてきた歴史にも向かった。また、ちょうど同時期に朝日新聞で連載された「女子力」(※2)についての企画ついての言及も。
※2 報告者参考 朝日新聞「フォーラム」
「女子力」の正体
- 女子力には「子供っぽい」という意味あいがあり、それがキャラクター的類型化をもたらしているように思う
- 「女子力高め男子」など、「女子力」を通じたキャラクター的類型化は男子にも及んでいる
- 「女子」、特に「子」という言葉には、母性や「産む」という役割を拒否しつつ女性である、という意味があると思う
- 「女子力」はネタだ、とは理解しつつ、やはり女性はそのワードを気にしている現実があると思う
- 「女子」という言葉は80年代より盛んとなった「女子高生」「女子大生ブーム」に端を発するトレンドではないか
- ファッションに流行には、必ずしも男性の視線を必要としていないものもあると感じる
- 「かわいい」という言葉と「女子」は親和性があると感じるが、現代では男性について用いられることもあり、しかも必ずしも否定的な意味ではなく使われている
キーワードとしては、次のような言葉が提出された。
【キーワード】
装置、かわいらしい、子供っぽい、類型化、母性、産む役割、女子(対としての男子)、労働力、使いこなしていく力
ファシリテーターの立場からは、「女子力」という言葉について相当に幅広い見方や考え方が示されたものの、問いをつくる段になって、展開が収縮してしまったように感じた。
それぞれのトピックでは、かなり興味深い、「女子力」の根源を垣間見ることができるような閃きが見えるように感じられただけに、残念。
第12回は、以下の問いと答を提出して終了となった。
問 女子力とは?
答 社会が女性に求める類型化された価値観や役割に適応するための力
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■第12回波止場てつがくカフェ <女子力>・・・ 誰が発揮するのか?
■日時:2017年2月25日(土)15時~
■場所:武蔵境の超巨大商業施設
■参加費:無料
※「本レポートは対話の場の主催者として掲載するものですが、報告者の個人的見解を前提としています。種々の制約によりラフな記録と記憶をたよりに作成されているため、現になされた対話の事実と食い違うところがあるかもしれません。何卒ご承知おき頂きたく、お願い申し上げます。
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【告知】第12回波止場てつがくカフェ <女子力>・・・ 誰が発揮するのか?